第1回国際口琴フェスティバル in 東京「月」

 ちょっと前のことになるが、12日、子ども2人を連れて渋谷で開催された「第1回国際口琴フェスティバル in 東京 『月』」に行ってきた。翌日の用事もあったので、日帰りの強行軍である。となると帰りの電車の時間もあるから、夜もあまりゆっくりできない。つまりほんのちょっと覗いてきただけである。だから感想だとかレポートだとかと言ったものはとてもではないが書けない。
 でもライブの演奏というのは、ちょっと見ただけでもものすごく勉強になるものだ。倍音ケイイチさんの演奏を実見して、往復打撃とミュートの組み合わせ技が少し見えてきた気がした。
 子どもたちが楽しみにしていたのは、アイヌの人たちによるムックリ演奏である。特に上の子(小6)はどうしたわけかアイヌ文化マニアになっていてやたら詳しい。夏休みの自由研究もムックリの自作であった。夏には長根あきさんに直接手ほどきを受けたりして、あの鳴らしにくい楽器をそこそこ鳴らせるようになっている。有名な弟子(てし)シギ子さんの演奏や、長根さんの演奏も聴くことができて、大満足だったようだ。
 下の子(小4)は、貯めたお小遣いでネパール口琴を買ってご満悦である。これはなかなか触らせてもらえない。
 この日聴くことができたのは、
・倍音ケイイチ
・オルゲンぬまのグループ
・竹原シャルマ & 久野 隆昭
・カリマン & 石阪由美子
・長根あき
・幕内純平
・アイヌ民族ムックリ奏者のみなさん
(弟子シギ子、山本栄子、床みどり、床絵美、郷右近富貴子、今井ノリ子、今井とわ、今井あい、丸子美記子、鈴木紀美代、諏訪良光)

といった人たちの演奏であった。
 これは全体のほんの一部なのだけれど、それぞれ持ち味の違った演奏で、口琴という楽器の表現の幅を思い知らされた思いがした。口琴というととぼけた味わいという印象があるが、竹原シャルマさんのインド口琴はタブラとの緊張感をたたえたアンサンブルで、鋭く厳しいものだった。カリマンさん石坂さんはキルギス音楽で、リラックスした雰囲気ながら技巧はすごいもの。こんなに離れた国に、ムックリとほとんど同形の竹口琴があることにも驚いた。幕内さんの、口琴ソロによるラヴェルの「ボレロ」には度肝を抜かれた。
 これらがほんのさわりなのだから、全体を通しで聴けなかったことは残念だ。だがこれだけでも十分ためになったので良しとする。
 当日はショップも出ていて、口琴数丁と、サハ共和国の口琴「ホムス」の教則ビデオDVDを購入した。このビデオもまた素晴らしいものであった。映像もためになるが、直川礼緒(ただかわれお)さん執筆によるブックレットは極めて貴重なものだと思う。ハレダイスケさんのテキストとともに、極めて少ない口琴奏法書である。
 帰ってきてから一週間、子どもと僕はずっと口琴漬けである。京都に帰ってから買った直川礼緒著「口琴のひびく世界」(日本口琴協会)も、素晴らしい本だった。文章もとても良いが、付属のCDがまた凄い。世界中の口琴の音を知ることができる。この単純な(しかし精妙な)楽器の世界の広さ深さが伝わってくる。
 それにしても、その昔最初聴いた時には「びよーん」としか聴こえなかった音が、今は複雑に聞き分けられるようになったのは進歩なのだろう。知れば知るほど細部が聴こえるようになってきて、謎も増えてくる。不思議な楽器である。
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by kotoba1e | 2008-10-22 23:43 | 喉歌入門記
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