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滝田ゆう傑作選「もう一度、昭和」(祥伝社新書)

 昨日買ってきた白鹿の純米吟醸を称する紙パック酒を飲みながら、滝田ゆう傑作選「もう一度、昭和」(祥伝社新書)を読んだ。滝田ゆうという人が、漫画家だということは知っていたが、その漫画を読んだことはなかった。クイズ番組の回答者なんかの役回りでテレビに出ていたのを見たことはあるし、雑誌のカットなどでその画風を知ってはいたのだが、その漫画を読んだことはなかったような気がする。
 似た時代背景と絵柄を持つ、つげ義春や水木しげるなどは、ふつうのマンガファンにも親しまれているが、滝田を読んだことがない読み手は実は多いのではないだろうか。
 つげや水木はすでに歴史的な存在でもあるのだが、彼らの世界の捉え方は、今のコアなマンガ者にも脈々と受け継がれているものだと思う。今のマンガが提示する日常の裂け目のようなものは、彼らの成果をなんらかの形で踏まえたものだと言えるように思う。
 滝田の漫画は、そういう異界を覗き込むようなところは全然ない。日常の深みを淡々と見つめているだけだ。こういう伝統は「三丁目の夕日」とか「味いちもんめ」のような、ビッグコミック系のおじさんマンガには受け継がれていると言えるが、革新の歴史としての漫画史からはちょうど抜け落ちてしまうところにあるもののようにも思える。

 今日はまあ理屈っぽいことはこれ以上考えられない生理的状況にあるのでもうやめますが、飲みながらこれを読むといいですね。なんだか「ああ」という気持ちになります。玉ノ井の私娼窟は僕は知らないのだけれど、浅草橋のあたりを原付で通って大学まで通っていた身としては、あの隅田川の匂いが伝わってくるような気がした。そういえば辻征夫さんもこの辺のひとだったっけ、ザンビア河野さんもこのあたりだっけ、なんて思いながら、気分は時空をあちこちに飛び回っていました(酔っているので)。

 絵だけ見ていると、なんだか物凄く昔のことのように思える。解説を夏目房之介が書いているのだけれど、それによれば「三丁目の夕日」の西岸良平は、滝田の影響下に出てきたのだという。有名な話だが、西岸は現代ポップミュージックの先端を行き続ける細野春臣の同期である。そう考えていくと、このドブ板のわびしい盛り場の風景と現代は、決して遠いものではないことことが痛感される。現に、こういうさびしい街並、いまでもいくらでもあるからね。特に大阪はそういうわびしい叙情に満ちた街の風景には事欠かないと思う。
 何を書いているのか判らなくなってきたけれど、まあそういうことです。今回読んだのは、祥伝社新書からでた傑作選だが、他の滝田の作品も読んでみたいものだと思った。多分似たような作品が多いのだろうと思うけれど。
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by kotoba1e | 2008-03-05 01:39 | もろもろ感想