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尾引浩志ライブを聴きに行った

 下鴨神社の近くの大変判りにくいカフェ「Yugue」に、ホーメイと即興の名人、尾引浩志さん(倍音S)のライブを聴きにいった。家の中ではホーメイ=雑音と思われているので、その偏見をひっくり返すよい機会だと思い、子ども2人も連れて行った。
 会場は舞台六畳、客席八畳という感じ。ステージの近さがたまらない。前半はトークを交えながら短い曲を中心に。後半は長大な即興曲を2曲。ひとつは口琴によるもの、もう一つはイギル(モンゴルの馬頭琴の原型になったと言われる2弦の摩弦楽器)とホーメイによるもの。
 尾引さんのホーメイの素晴らしさは承知していたが、今回は口琴の腕前に驚嘆した。どうやって出しているのか判らない音がたくさんあった。前回はそういう音を識別的に聴けていなかったのだ。経験を積む程によく聴こえてくるものらしい。ホーメイについても技術的な知識がだいぶついてきたので、実際の演奏の中で口腔がどのうに動いているのか、かなり想像できるようになってきた。しかし低音技法の「カルグラ」の倍音による音程の作り方は、やはり判らない。
 後半のインプロビゼーションは、かなり意識を飛ばしてしまうタイプのものだった。聴くドラッグという感じ。子どもたちは頭がぐらんぐらんになってしまったようで、半分眠ったようになっていた。大人も実はそうなのであるが。
 「身体そのものが音になる感じ」と尾引さんは言っていた。そうして生まれた音が、聴き手の生理に直接働きかける。官能的な音楽である。
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by kotoba1e | 2007-10-30 00:27 | 喉歌入門記

詩学廃刊

 詩学社が出してきた伝統ある詩誌「詩学」が廃刊になるという。詩学社も廃業なのだそうだ。
ミッドナイト・プレスが休刊したときとは、ちょっと状況が違うようだ。ミッドナイト・プレスは「なにぬねの?」SNSによって、ある意味復活したといえるような気がするけれど、詩学にはもうそういうことはあり得ないわけだ。
しかしネット上を見渡す限り、あまり動揺は広がっていないようだ。僕自身も実はあまりピンと来ていない。もうそろそろそうなるのではないか、という予感もあったようだし、何より書店で見かけるということのない雑誌だった。ほとんど定期購読者=投稿者という雑誌だったのだろう。もちろんそういうありかたもアリだと思うが、既に商業誌の体は成していなかったのだろう。

 プロとして詩で食えなくてはいけない、と言う人は多い。谷川さんあたりを標榜して言っていることも多いのだろうが、多くはポップスターに範を置いているようだ。しかし詩はどんどん資本から離脱していっている。まるで逆なのだ。現代美術に近いものになっていく、というのも一つの道なのだろう。もちろん美術家は美術家で、本当はこれで食えなくてはダメなんだ!と言っている訳だが。

 インスタレーション系の作品などは、大規模で仮設的だったりするし、コレクターに買ってもらうこと自体不可能だ。こういうのはその制作意図の公共的意義を説明して、公的助成を受けて作るとか、そういうことになる。詩においてそういう方向は可能なのだろうか。ものすごく大きくて搬入出が不可能な詩集とか、地面にめりこんでて、移動できない詩とか、作ればいいのかもしれないな。
 下手にラッパーやポップスターの身振りを真似るより、ユンボの運転を覚えた方がいいのかもしれない。詩作そのもののためにもね。
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by kotoba1e | 2007-10-13 23:53 | ことばと表現