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音楽と「響き」

 レコード会社が大衆向けに大量生産する音楽に共通する性質がある。それは響きに対して関心を起こさせないよう、十分な配慮が行われているという点だ。
 響き、聴こえ、といったものは、回路内で無難な設計を与えられ、それは決して空間を指し示すことはない。巻上公一氏もすで指摘しているが、ポピュラー音楽コンサートのPAシステムがいかに音楽を壊しているか。今やステージは巨大なラジカセと化しているというのは、なるほど本当だ。会場で聴く爆音は、低音はだだ漏れで、あとはヒステリックなキンキン音が飛び回るだけだ。
 ポピュラー音楽は、響きをなおざりにしているのではない。おそらくその大切さに気付かせないよう、丁寧に隠蔽しているのである。それに気付くというのは詩に目覚めるというのとたぶん同じで、世界の向こう側を覗く経路を見つけてしまうことなのだ。
 これは全てを貨幣で包囲してしまわなければ気が済まない連中にとっては、我慢ならないことなのだと思う。

 それにしてもポピュラー音楽をやっている人間で、音色そのものに関心を持っている人がどれだけいるか。デジタル・エフェクターから出てきた音を、そのままいちどきに鳴らして良しとする者も多いのではないか。知人がいくら誉めようが、私がBOΦWYが嫌いなのは、その音がまさにそんな音だからだ。あの音は無神経そのものだ。それに引き換え、Led Zeppelinのどすんばたんと床を踏み抜きそうな音のエッジには、どれだけ多くの粒子が煌めいていることか。

 本当に優れたポップ・ミュージックは、レコード屋が画策する世界とは反対の方向に聴き手を連れて行ってしまう。良質なポップは、常にサイケデリックなのである。
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by kotoba1e | 2007-08-07 00:08 | 音楽のことなど