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千年の命

 昨6月20日(火)は、京都の奥の奥、片波川源流域に行ってきた。哲学者で民俗学者のN先生と、美術史家のM先生が行くというので、随行させていただいたのだった。
 ここは平安京造営の昔から京都に木材を供給し続けてきた、山国黒田荘の裏手の奥山だ。人間の植林は行われず、巨木から少しずつ材を切り出すという形で、人間は関わってきた。
 ここの杉の巨木の異様な姿には圧倒される。裏日本型の多雪地帯に適応した、粘り強い形質を持つ杉たちは、その生涯の800年とか1000年とかという年月の間に起きたさまざまな出来事に抗して、それぞれ独自の形を作ってきたようだ。樹木の生命がその時その時でどの方向に力を込めて伸び上がってきたかが、その形に刻まれている。これは間違いなく表現である。巨大な、立体の墨跡。1000年の時間をかけての生命の造形に度肝を抜かれる。こまっちゃくれた現代美術なんか、馬鹿馬鹿しく思われてくる。
 巨大になりすぎた株は、もはや一つの樹木というよりは、森のようであった。株上の広がりには、本体の杉以外のさまざまな植物が着床し、いろいろな種類の樹木が生えてしまっているのだった。一回り十数メートルもありそうな塊からは、何本もの杉の幹がうねるようにしながら伸び上がって行き、その間にタカノツメやリョウブといった雑木の大木が立っていた。そんなとてつもない株が、そこここにある。こういう景観は、屋久島でも見られないものなのだそうだ。
 案内して下さった、ガイドの伊藤五美さんもナイスな方だった。またお願いしようと思う。
 帰ってきてみて見ると、先日の検査の傷跡周りに新しい内出血が見られた。少し心配である。
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by kotoba1e | 2006-06-21 14:19 | まち・地域・場所