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黒田村探訪

 9月20日(土)〜22日(月)の3日間、大学のスクーリングで京北黒田に行ってきた。台風が来るかもしれないということで気が気ではなかったが、なんとかうまく逸れてくれて実施することができた。とはいうものの、台風一過という訳にはいかず、終始天候には悩まされた。結果的には晴れ続きよりも彫りの深い経験ができたように思うので、よかったと思う。
 1日目は「黒田の里を歩く」といった感じで、とにかく歩いて、見つけたものを報告しあってもらった。
 2日目は、陶芸家で森林インストラクターの伊藤五美さんのご案内で、片波川源流域の古代杉を見に行った。雷がやってきはしないかと冷や冷やしたが、なんとか主立ったところは見ることができてよかった。
 ようやくたどり着いた平安杉の下で口琴を弾いたら、突然に豪雨となった。枝の織り重なる森の中にいたので、それまではそうそう濡れることはなかったのだが、ここにきてみんなずぶ濡れである。何か天の逆鱗に触れたのかもしれない。そういえば以前も鹿背山の巨岩に触れたとたんに雷がやってきて肝を冷やしたことがあった。体質なのだろうか。
 3日目は地元にお住まいで森づくりに励む井本寿一さんに「吉野山」を案内していただいた。この急斜面での択伐や小屋作りといった作業を70歳を越えて一人でされているという情熱に気が遠くなる思いがした。森のところどころにしつらえられた造作は、手づくり感に満ち満ちていて、この森全体が井本さんの「作品」であることを、びんびんに伝えてきていた。
 この地域では、千数百年という蓄積が暮らしの中で息づいている。中世以来の古文書が残る家々(全国でこの黒田と隣りの山国だけらしい)は、歴史の層を貫いた歴史的存在であり、その人々もまたそうである。里に生きるということは、そういうことなのかと気付かされる。一方で、黒田は外部から流れてきた人を受け入れてきた歴史があり、その伝統は今も続いているようだ。自分自身の歴史性だとか、あるところに住まう意味といったことについて考えさせられる。参加した学生のみなさんもそう思ってくれていたら、このスクーリングは所期の目標を達したことになるのだが。


 本ブログにおける黒田村関連記事を紹介しておく。

黒田村で鮎釣りを
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千年の命
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村の音楽会
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黒田上げ松
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by kotoba1e | 2008-09-24 23:12 | まち・地域・場所
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