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尾引浩志ライブを聴きに行った

 下鴨神社の近くの大変判りにくいカフェ「Yugue」に、ホーメイと即興の名人、尾引浩志さん(倍音S)のライブを聴きにいった。家の中ではホーメイ=雑音と思われているので、その偏見をひっくり返すよい機会だと思い、子ども2人も連れて行った。
 会場は舞台六畳、客席八畳という感じ。ステージの近さがたまらない。前半はトークを交えながら短い曲を中心に。後半は長大な即興曲を2曲。ひとつは口琴によるもの、もう一つはイギル(モンゴルの馬頭琴の原型になったと言われる2弦の摩弦楽器)とホーメイによるもの。
 尾引さんのホーメイの素晴らしさは承知していたが、今回は口琴の腕前に驚嘆した。どうやって出しているのか判らない音がたくさんあった。前回はそういう音を識別的に聴けていなかったのだ。経験を積む程によく聴こえてくるものらしい。ホーメイについても技術的な知識がだいぶついてきたので、実際の演奏の中で口腔がどのうに動いているのか、かなり想像できるようになってきた。しかし低音技法の「カルグラ」の倍音による音程の作り方は、やはり判らない。
 後半のインプロビゼーションは、かなり意識を飛ばしてしまうタイプのものだった。聴くドラッグという感じ。子どもたちは頭がぐらんぐらんになってしまったようで、半分眠ったようになっていた。大人も実はそうなのであるが。
 「身体そのものが音になる感じ」と尾引さんは言っていた。そうして生まれた音が、聴き手の生理に直接働きかける。官能的な音楽である。
by kotoba1e | 2007-10-30 00:27 | 喉歌入門記
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