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詩学廃刊

 詩学社が出してきた伝統ある詩誌「詩学」が廃刊になるという。詩学社も廃業なのだそうだ。
ミッドナイト・プレスが休刊したときとは、ちょっと状況が違うようだ。ミッドナイト・プレスは「なにぬねの?」SNSによって、ある意味復活したといえるような気がするけれど、詩学にはもうそういうことはあり得ないわけだ。
しかしネット上を見渡す限り、あまり動揺は広がっていないようだ。僕自身も実はあまりピンと来ていない。もうそろそろそうなるのではないか、という予感もあったようだし、何より書店で見かけるということのない雑誌だった。ほとんど定期購読者=投稿者という雑誌だったのだろう。もちろんそういうありかたもアリだと思うが、既に商業誌の体は成していなかったのだろう。

 プロとして詩で食えなくてはいけない、と言う人は多い。谷川さんあたりを標榜して言っていることも多いのだろうが、多くはポップスターに範を置いているようだ。しかし詩はどんどん資本から離脱していっている。まるで逆なのだ。現代美術に近いものになっていく、というのも一つの道なのだろう。もちろん美術家は美術家で、本当はこれで食えなくてはダメなんだ!と言っている訳だが。

 インスタレーション系の作品などは、大規模で仮設的だったりするし、コレクターに買ってもらうこと自体不可能だ。こういうのはその制作意図の公共的意義を説明して、公的助成を受けて作るとか、そういうことになる。詩においてそういう方向は可能なのだろうか。ものすごく大きくて搬入出が不可能な詩集とか、地面にめりこんでて、移動できない詩とか、作ればいいのかもしれないな。
 下手にラッパーやポップスターの身振りを真似るより、ユンボの運転を覚えた方がいいのかもしれない。詩作そのもののためにもね。
by kotoba1e | 2007-10-13 23:53 | ことばと表現
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